本級以前の駆逐艦は、その艦型の小ささ(基準排水量1000t前後)から外洋で充分に働く事は難しかった。波を切って走る「凌波性(りょうはせい)」、足の長さ「航続距離」、大波の衝撃に耐える「耐荒性(たいこうせい)」、どれをとっても外洋の荒天を乗り越えて予想された戦闘エリアに適切な時期に到達する能力に欠けていた為、近海の哨戒が主な任務だったのである。1921年のワシントン条約によって主力艦の制限を受けた日本海軍は、補助艦艇によってその代わりをさせるべく、巡洋艦、駆逐艦の個艦能力の引き上げを狙い、次々と画期的な新型艦艇を生み出してゆく。そんな中「斬減作戦」の一角を担うべく設計された、特型駆逐艦「吹雪級」一番艦「吹雪」を1928年8月10日に竣工させた。12.7cm(5in)連装砲3基、3連装魚雷発射管3基、速力38ノット、艦隊に随行出来る航洋駆逐艦のしての性能は完成当時の各国の駆逐艦の概念を大きく上回ったものだった。
画期的重武装かつ近代的な駆逐艦として各国に注目された特型駆逐艦だったが、極度の船体軽量化と重武装により船体強度に欠陥を内包する事となった。1935年9月26日演習中の第四艦隊が台風に見舞われ大損害を受けた「第四艦隊事件」において、特型駆逐艦「吹雪」「狭霧」の両艦は艦橋直前の船体が破断、船首部分を喪失した。他の8隻の特型駆逐艦も大小の損害を受け、日本海軍は、それまでの戦闘艦建造方針を一新する必要性に迫られた。建造中の各艦は船体強度の見直しをされ、就役中の各艦も船体補強の追加工事をする事となり、特型駆逐艦における船体補強による重量増加がもたらす航続距離、速力の低下は大きな欠点となってしまった。しかし特型駆逐艦「吹雪」級の各国駆逐艦に与えた影響は大きく、以後の大型駆逐艦の建造に結びつく事となった。
「吹雪」級24隻は「陽炎」級、「朝潮」級に次ぐ主力駆逐艦として太平洋戦争に投入され、21隻が戦没、終戦時残存していたのは3隻だけだった。尚、後期4隻は新型缶の採用によりそれまでの4缶から3缶になり第一煙突が細くなり、20番艦「暁」の名をとって「暁」級と分類される事もある。
同型艦
吹雪級
吹雪 白雪 初雪 深雪 叢雲 東雲 薄雲 白雲 磯波 浦波
綾波 敷浪 朝霧 夕霧 天霧 狭霧 朧 曙 漣 潮
暁級
暁 響 雷 電
諸元 排水量 |
「吹雪級」 基準 1,680t |
NFスペック | クラス | レベル | 価格 | 耐久力 | 基準排水量 | 満載排水量 | 射撃管制装置 | 機関 | 偵察機 | 乗員数 |
吹雪 | DD3 | 22 | 49,880 | 5,600 | 741 | 2,400 | 30 | 25 | − | 7 |
NFスペック | 武装1 | 武装2 | 武装3 | 武装4 | 武装5 | 武装6 |
吹雪 | 65 | 35 | 35 | 35 | 65 | 65 |
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