イギリス最後にして最大の戦艦、ドレッドノートを始祖とする近代戦艦の”本家本流”の末裔だが、実際には戦時急造の戦艦であった。
イギリス海軍は第一次大戦中に建造した巡洋戦艦「カレイジャス」「グローリアス」を空母に改装し、その際に二隻分の38.1cm連装砲塔合計4基が取り外され、予備として保管されていた。海戦直後の1939年、これらの砲塔を利用して新たな戦艦1隻を建造する構想が生まれた。この案は当時の海軍大臣ウィンストン・チャーチルの支持を得て1941年3月に発注、10月2日に起工され「ヴァンガード」が艦名と予定された。
主砲以外の兵装や装甲防御、その他の配置は「キング・ジョージ・5世」級を基に改良を加えたもので、特にバイタルパート以外の部分の防御には、「プリンス・オブ・ウェールズ」喪失の教訓を生かし、対空兵装も強力であった。30ノットという速力はイギリス戦艦中最速であり、航行性能は極めて優秀だった。
「ヴァンガード」の建造には高い優先度が与えられたが、熟練労働力の不足で遅々として進まず、空母への改装案なども出た末に、1944年11月に進水したが、就役は終戦から8ヵ月後の1946年4月であった。結局「ヴァンガード」は戦争に間に合わず、艦隊旗艦、練習艦を務めて1960年に退役、スクラップされた。
諸元 排水量 |
「ヴァンガード」 基準44,500t |
NFスペック | 不明 |
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