護衛空母
第二次大戦が勃発して間もない1940年10月、当時のアメリカ大統領ルーズベルトが短期間でかつ低コスト建造可能な商船改造型航空母艦の建造を指示した。これにより誕生したのが「エスコートキャリアー」(Escort Carrier)すなわち護衛空母である。翌41年3月発注6月完成の「ロングアイランド」Long Islandを皮切りに「チャージャー」Charger、「ボーグ」Bogue級11隻、「サンガモン」Sangamon級4隻、「カサブランカ」Casablanca級50隻、「コメンスメント・ベイ」Commencement Bay級19隻(内大戦中完成は10隻)と77隻も戦線に投入された。当初は陸軍機を諸島に輸送したり、輸送船団の護衛任務が主だったが、1942年に入ると艦隊型空母(正規空母)の消耗、損傷が激しくなり、第一線に投入され太平洋、大西洋で艦隊型空母と共に作戦に参加、各艦型あわせて5隻の沈没艦を出したが、費用対効果の面では最大限の効果を上げた艦型といえる。当初与えられていた航空機搭載護衛艦「Aircraft Escort Vessel : AVG」の艦型は、42年8月20日補助空母「ACV」に、43年7月15日に護衛空母「CVE」に改められている。
艦型は軽空母(主に巡洋艦改造空母)に比べても小さくて、速度も20ノット弱と遅く、艦載機も30機前後と艦隊型航空母艦としては充分な性能とはいえなかったが、本来の目的である足の遅い輸送船護衛任務に限定してみると、カタパルトの装備により輸送船団前、側方の哨戒任務には充分な能力を備え、何より低コスト短期建造による大量投入が功を奏し、戦略の大きなファクターである「補給線の確保」に大きな功績を残した事は特筆に値するだろう。また、給油艦改造の「サンガモン」級4隻は、給油設備と6000t近い油槽を残しており、護衛艦と共に補給艦としての機能も有していた。
ボーグ級
本格的護衛空母の第一陣と言える「ボーグ」級。ディーゼル艦より多少速度を増すために蒸気タービン推進のC3−S−A1型貨物船を母体に改め、前2艦(ロングアイランド、チャージャー)の実績を元に、飛行甲板と格納庫スペースを極力広げ、エレベーターを1基から2基へ増し、簡単ながらアイランドを前部右舷の張り出して設けた。同型艦が42年から43年にかけて37隻完成し、うち26隻が武器貸与法に基づき英海軍に引き渡され、残る11隻が米海軍の所属となる。改造型の「ボーグ」と同型で初めからACVとして着工された一番艦「プリンス・ウイリアム」Prince Williamの名をとって「ボーグ/プリンス・ウイリアム」級とも呼ばれる。
尚、ボーグ級同型8隻は英海軍において「アタッカー」Attacker級(艦載機18機)となり、プリンス・ウイリアム級同型26隻が「ルーラー」ruler級(同24機)となっていると思われるが、資料によって切り分けが一定せず、隻数名称ともにはっきりしない。
同型艦
ボーグ | Bogue | ACV−9 | 1942年竣工 | 1959年除籍 |
カード | Card | ACV−11 | 1942年竣工 | 1970年除籍 |
コパヒー | Copahee | ACV−12 | 1942年竣工 | 1959年除籍 |
コア | Core | ACV−13 | 1942年竣工 | 1970年除籍 |
ナッソー | Nassau | ACV−16 | 1942年竣工 | 1959年除籍 |
アルタマハ | Altamaha | ACV−18 | 1942年竣工 | 1959年除籍 |
バーンズ | Barnes | ACV−20 | 1943年竣工 | 1959年除籍 |
ブロック・アイランド | Block Island | ACV−21 | 1943年竣工 | 1944年除籍 |
ブレトン | Breton | ACV−23 | 1943年竣工 | 1971年除籍 |
クロアタン | Croatan | ACV−25 | 1943年竣工 | 1970年除籍 |
プリンス・ウイリアム | Prince William | ACV−31 | 1943年竣工 | 1959年除籍 |
諸元 排水量 |
「ボーグ級」 基準9,800t |
NFスペック | クラス | レベル | 価格 | 耐久力 | 基準排水量 | 満載排水量 | 射撃管制装置 | 機関 | 艦載機 | 乗員数 |
ボーグ | CV | 50 | 1,372,000 | 7,000 | 11,000 | 15,400 | 25 | 13 | 7(1560) | 5 |
NFスペック | 武装 |
ボーグ | なし |
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