・砲の口径の話 (’03.1.26)

NF内でも、質問受付部屋を開くことがありますが、そこで多い質問の一つがこれ。
基本的な考え方を語っておきます、日本製の砲を例にとって考えましょう。
日本の傑作高角砲が「40口径89式12.7センチ高角砲」。
すべての重巡に搭載された他、軽巡「北上」「五十鈴」、「大和」をはじめとする大型艦の主要対空装備、駆逐艦「松」級の主砲としても採用されていました。

諸元

口径      127ミリ(5インチ)  
砲身長     40口径 
最大射程   15,600m   
最大射高   9,300m
最大仰角   90度
最大俯角   マイナス8度
初速      830m/sec 
発射速度   14発/min
砲弾重量   23kg
炸薬重量   4kg
装薬重量   約11kg

【1インチ=約25.4ミリ(2.54センチ)です。】
【帝国海軍は砲のサイズを表記する場合、「センチ」を「サンチ」と表記します。】

これでなんとなく分かった方もいるでしょう。
そうです、砲弾の直径が127ミリで砲身の長さが127×40=5080ミリ(約5m) と言うことを表しています。
同じ12.7センチ砲でも、単装が40口径だったり連装が50口径だったり、7.62センチ(3インチ)砲でも単装だと40口径で連装だと60口径。
なんじゃこりゃ?と思っていた人、簡単でしょ?

射程については、弾道学をひもといた訳では無いので詳しいことは解りませんが、おおむね砲身長と初速に比例して長くなる傾向にあるようです。

一応、比較データーを記載しておきます。

日89式12.7センチ高角砲

口径    12.7センチ
砲身長   40口径
初速    830m/min
最大射程 15,600m
発射速度 毎分14発

日10年式12センチ高角砲

口径    12.0センチ
砲身長   45口径
初速    825m/min
最大射程 20,000m
発射速度 毎分11発

米5インチMk.32両用砲

口径    12.7センチ
砲身長   38口径
初速    824m/min
最大射程 15,800m
発射速度 毎分22発

こうしてみると、アメリカのMk.32は優秀だなぁ(笑)日本国籍の同胞!がんばろう!!

ちなみに艦砲史上最大の戦艦「大和」の主砲は94式45口径46センチ三連装砲。
砲身長約20.6m、砲塔重量2772t(満装填時)/一基(駆逐艦並)、
砲弾重量1460kg 最大射程 41,000m以上。
トヨタ「クラウン」を、東京駅から中央線八王子駅付近まで飛ばしていたと思えば、そのすごさが想像出来る?
(東京以外の方は、付近の直線距離41kmの地点を想像してみて下さい。)

初陣で米駆逐艦を撃沈したときは、本当か嘘か、着弾の水柱がおさまった時には影も形もなかったと言いますからすごすぎる。さらに装甲の薄い米護衛空母は命中した46センチ砲弾が船体を突き抜けて、反対舷側の海面で爆発しと言う笑えない話も残っています。 戦艦同士の艦砲戦であったら・・・・

笑えない話ついでにsrbocさんから頂いた投稿です('03.4.22)

・大和はミッドウェー海戦とその翌年に内地へ帰還中に2度ほど魚雷を受けてるんですが乗組員は誰も気づかず、検査して初めて気づいたという笑えるようで笑えない話。

・性能の話ですが大和の主砲は九一式徹甲弾の場合30km先の400ミリの装甲をぶち破る。笑えませんねー。大和から30km以内で被弾したら大和級除いてみんな装甲ぶち破られるわけですからねー。

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